ある言葉

学生の時に「飲食業で生計をたてる」と決めた自分。いろいろな紆余曲折があったけど現在は「ひさりな食堂」をやっている。
当時の自分は何をやりたいわけでもなく目標もなかったから進学したんだけど、そこで始めたバイトが飲食業だったんだよね。ここ長野に来たきっかけをつくった先輩がそのバイト先で知り合った人で、現在長野県に住んでいるんだよ。そんな縁で長野にきたんだけど、学生時代に始まり現在まで食品一筋で生きてきたのは事実で。
今、人生の折り返しはとっくに超えてる自分がいうのもなんだけど人の将来ってわからないと思うわ。自分は運よくこの職業を見つけられたんだと思うけど、これからの人生で迷って悩んでどうにもならなくなる人も大勢いるんだと思うとつらいのは事実で。

今から数十年前、学生の頃に読んでた成人向けコミック誌の「BIGコミック スピリッツ」のほんの小さな見落とすようなページに載ってた言葉？文章？詩？みたいのがあって、それを切り抜いてずーーっと持ってたんだよ、財布の中に。夢があって、希望があって、現実が切なくて、実現できるか・・・そんな文章で。自分はいつもその切り抜きを見てはため息ついてたような気がするよ。現実があって、夢が遠くてみたいなね。ある日、その切り抜きがボロボロになってきたので当時のワープロ打ってコピーして持ってたんだけどいつの間にかなくしたんだよ。どこかにいっちゃった。でも、その言葉全部を暗記してた訳じゃなかったけど、ニュアンスは分かってたからいつも心の支えにしてたんだよね。

そしたら先日、出てきたんだよ！！その言葉が書かれた紙が！！！偶然に。
何年も見あたらなかったその言葉がなんと財布の中から出てきたんだよ。商売やる前から持ってたはずなのに商売始めてからは一度も見たことなかったのに結局は財布の中にあったんだよね。身近にあったんだよ。見つけた時は、それはそれはうれしくて嬉しくて飛び上がるほどだったんだよ。
だ・け・ど・・・。
あらためて読んでみると、「ほ～～、確かにそうだわ！なるほど、そうだわ！そう思うわ！」程度なんだよ。あの当時、夢をいだいて夢に悩んで、現実をみて挫折しそうになった自分がいたはずなのに「ほ～～、その気持ちわかるわ」になってる。自分が何だか馬鹿になったんじゃないかって思ったり、年取ったんじゃないかと思ったりして複雑だったよ。自分では全く偉くなったとか成し得たとか思ってないし、まだまだだと思ってるけど、あの当時の切ない言葉が今の自分には違って感じられるのが切なかった瞬間だったわ。

でも、今でもあの当時のようにオネェちゃんをみると全く飽きもせず何も変わらず同じように視線を浴びせて妄想してしまう自分がいるのも事実なんだけどねぇ！ここだけは何も変わってないんだけどねぇ！！