「このたび転勤になったんですよ静岡に・・・」
「今日で最後なんですよ、飯食いに来られるの・・・転勤で新潟行くんで」
「埼玉に行く事になったんでこれが最後なんです・・・」
「旦那さんの故郷に行く事になりました。フィンランドへ・・・」
「フィンランドって・・・」そして「辛いね」って【さ】。
春先のこの時期は何かと出会いと別れが多いんだけど、自分らにとってはこの時期に限らず 人との別れは存在し、とても辛いことだと感じる訳で。
お客様とお店という関係だけど「ひさりな食堂」を気に入っていただき、そして何度もお越しいただく間に会話を交わすようになり(特に【さ】)、そして別れの時がやってくる。自分達にとっては大切なお客様を失うっていう単純なことじゃなく、もっともっと複雑な思いにかられるんだよね。
自分が気持ちを込めて作ったお料理を食べていただいたっていうのは、これも大切な縁だと感じるし簡単に一期一会という言葉じゃすまないような気がするんだよ。
そして違う場所に行っても元気でいてほしいなぁとか、慣れない土地だと大変だろうなぁとか、いつか又戻ってきてほしいなぁとか色んな事を考えてしまうんだよね。
生意気なようだけど自分にとってのお店像にはアットホームなお店というのは無かったんだよね。お客様とお店との間には一定の線を引いてって思っていたんだよ。ある意味高級レストランのような空間を望んでたんだろうね。アットホームな高級レストランって無いもの。あくまでお客様が主役で、お店側はお客様に心地よい空間をご提供する為に心を尽くすっていう感じに思ってたんだよ。でもふたを開けてみると実際の「ひさりな食堂」は違ってるような気がする。
お店にも「店格」があると思う。そうして自分達は「ひさりな食堂」の意思のままに働かされているんじゃないかって錯覚をする時も多々ある位だから、きっと自分の気持ち通りにはいかないんだと勝手に解釈したりもする。もしかしたら自分が思う以上にアットホームなお店になっているのかも知れないけど・・・・。
この仕事をしている限り人との出会いや別れがたくさんあるのは理解してるけど、もしも「ひさりな食堂」に気持ちがあるとしたらお客様との別れをどう思うんだろう?是非聞いてみたいと思うのは自分だけなのかなぁ?。