「ひさりな食堂」開店当初の話。
新規開店からあわただしい日々が過ぎていき、2ヶ月目のある日の事。
何も宣伝もせずに始めた商売だったし知り合いもいない土地での開業だったので、今から考えるとあまり集客数が多くなかったのは当然な訳で。
「お客さん来ないねぇ~」
その日の昼営業はお客さんも普通程度に来店していただいたんだけど、夜営業になってからは「お客さん来ないねぇ~」状態が続いて・・・。出るのはタメ息ばかりの自分。
結局この夜御来店のお客様は何と0人!
泣きそうになったよ。このまま萎んじゃうんじゃないかと思ったもの。「自分の店だけなんだろうか?」不安で仕方なかったよね。
いてもたってもいられず後片付けもそこそこに、店から程近い豊科インター(現 安曇野インター)付近の飲食店が立ち並ぶ一帯へ車で向かう自分。
すると・・いるんだよ!人が!。
時間的に大勢って訳じゃなかったけど、各店に人影が見えるんだよ。「良かった~~」安堵する自分。人がいる、それだけで良かった。「人がいるって事は自分の店にも来店していただけるチャンスがある。」そう思って安心したんだよね。
「人はいるから大丈夫だよ」お店に帰ってから【さ】に報告した時の事は一生忘れられない気がするわ。「ところで今日って何日だったっけ?」ってふとカレンダーを見ると・・・。
「2月14日」 2月?14日?えっ、バ・・バレンタインデー?
「バレンタインデーの夜じゃん!。だったら分かるわ。開店したての得体の知れない店よりも知ってる店でチョコレートでしょう」。これで決着。
あれから5年、今年の2月14日の晩は何故か女子組ONLYの貸し切り状態になりました。ひさりな食堂は貴女を応援いたします。バレンタインデーの夜は温かいお料理で心の中までホカホカしてくださいね。