「喉もと過ぎれば熱さ忘れるっていうのかなぁ」
宮城県南三陸町で被災したC君の菩提寺の若和尚さんが言う。
まだツインズを授かってなかった頃、【さ】と訪ねたC君亭。あの時は新築の家がまだ竣工していなかった時期で、その年の年末に間に合うかどうか位だったと思う。その家も今は無く・・・。
その日、C君の親父さんが懇意にしているそのお寺の住職夫婦を招きおのずと酒席になった後、夜にもかかわらずお寺を参拝したのが印象に残っている。そのお寺の本堂も今回の震災で流され・・・。
現在は当時の住職の御子息がお寺を守っているんだけど、なんとこの御子息がツインズなんだよ。そして自分の子供もツインズ。これはきっとあの時にお寺を参拝させていただいた御利益なんじゃないかと思うんだよ。その後再び前住職に会った際にこの話をしたら、とても喜んでもらえたっていうのを憶えているよ。その和尚さんも今は天上界からこちらを見守っていてくださると思います。
今回は御子息の若和尚と話したんだけど、こんな話をしていました。
「今日もそんな会合に出てきたんだけど、喉もと過ぎれば熱さ忘れるっていうのかなぁ。高台の集団移転っていうのが基本なんだけど住民の話がまとまらないんですよ。俺はあそこは嫌だとか、こうじゃなきゃ嫌だとか・・・・。住民の言葉が多くて行政もしっかりした方針を出せないのが現実で、これじゃあいつまでたっても進まないですよ。震災後すぐに方針を打ち出して念書でもとっておけばここまでこじれなかったと思う。ちょっと時間がたってしまいましたね」。
「自分とこは賛成だし、早ぐ移転先決めて話を進めてほしいんだけどねぇ」とC君。
C君が仮設に入ったのは確か2年前の7月初めだったはず。仮設住まいも2年が過ぎようとしている現在も何も話しが進まないのが現実みたいで・・・。ちなみにC君居住の仮設住宅周辺は250世帯以上ある巨大な居住地域です。この世帯全部が一日も早く移転して自分本来の生活ができる事を心から願う日々です。
「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」って言うけど、震災の記憶だけは絶対に忘れちゃいけないと思います。